誰しもが思い描く「理想の結婚像」。
けれども現実はそうはいかない、というのが世の常です。そんな中、相手としっかり話し合い、そのイメージを擦り合わせ、お互いに一致していれば、もしかしたらその理想は現実となるかもしれない……そんな家族のお話です。
ひと目会って感じた「結婚の予感」
鈴木家は妻の里菜さん(仮名・33歳)、夫(44歳)、長女(5歳)、長男(3歳)の4人家族。里菜さんはパートで働き、夫は会社員として働いています。里菜さんが夫と出会ったのは大学時代。夫はアルバイト先のホテルで働く社員でした。
「厳しい職場と聞いていたのに、すごく優しく教えてくれて。ひと目会ったときから『こういう人と結婚したいな』と思っていました」。
お酒が共通の趣味ということもあり、仕事帰りに2人で過ごすことが増え、やがてつき合うことに。ところが里菜さんがウエディングプランナーとして就職し、職場が別々になると、会う回数が少なくなってしまいます。
「業界の先輩としてもいろいろ相談したいことはあるのに、彼は自分のペースを乱さない……なので、彼の実家の近くに引っ越したんです」。
それから2年後に同棲をはじめ、その1年半後に結婚。
「彼が何も言わないから、少しずつそうなるように仕向けていった感じですね」と里菜さんは笑う。
結婚後、ほどなくして子どもを授かり、里菜さんは会社を辞めることに。
「ウエディングプランナーは “ 天職” だと思っていたけど、子育てとの両立は難しくて。でもやり切ったという思いだったから、悔いはなかったかな」。
里菜さんの実家近くに自宅を購入し、準備万全で生まれたのは女の子。
「『絶対に女の子が欲しい』とずっと思っていたので、ホッとしました。でも夫は男の子をほしがっていたから、『次に男の子が生まれたら、姉と弟でちょうどいいかな』って」。
そして狙い通りに2年半後、長男が誕生しました。
がむしゃらに働くことより家族を優先
夫は定時で帰宅する子煩悩な父親。外食をすることもなければ、月5000円だというお小遣いすら、子どものために使うことも。さらに、育児参加の点数についても“100点満点” なのだそう。
「夫は私が教えたことを、私よりもていねいにやってくれます。育児はもちろん家事もそう。同棲するまでは一人暮らしもしたことなかったのに、掃除や洗濯、最近は料理も……どんどんできることが増えていってる感じです」
夫が家庭での時間を大切にする背景には、里菜さんと2人で決めたことがありました。
「全国転勤を避けて、エリア指定の働き方を選んでもらったんです。そのぶん昇格は難しいけれど、“ がむしゃらに働いて稼ぐこと” が最優先じゃなくてもいいと思って」
里菜さんの頭にあったのは、「大手企業の高給取り」だった父親。深夜の帰宅や単身赴任で顔を合わせることが少なかったといいます。
「そんな結婚生活はイヤだったんです」
夫の趣味は「子ども」と「妻との晩酌」。
「生真面目すぎて、おもしろみはないんですけどね(笑)。でも学生の頃に思い描いた『理想の結婚像』にかなり近い。こんなにうまくいってていいのかなぁ? なんてね(笑)」
『なぜ、あの家族は二人目の壁を乗り越えられたのか?』
ママ・パパ1045人に聞いた本当のコト
発行: 株式会社プレジデント社
著者: 秋山 開(公益財団法人1more Baby 応援団)
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